シャワーから出てくると
謙太さんはビールを飲んでいた。


「髪を乾かさないと風邪引くぞ
乾かしてやろうか?」


「大丈夫自分でする」


「いいから」


ドライヤーであたしの髪を乾かし始めた。


「こうしてると
恋人同士みたいね
謙太さんっていつも女の子に
こんなことしてるの?」


「待て!その発言
オレが遊び人見たいじゃん
そんなに言われるほど
遊んでねーし」


「ごめんなさい」


「結構オレって一途な男なのに・・・」


「プッ」


思わず笑ってしまったあたし。


「笑うな!」と髪の毛をクシャクシャに
まるで山姥のように爆発させた。


「もー!意地悪だ
あたしが乾かせるからいい」
ドライヤーを謙太さんから取り上げると
「遠慮すんな」とまた取られる。


「あっ!そーいえば
シャワーしてるとき携帯が鳴ってたぞ
彼からじゃねーの?」


「あ・・・」


携帯を確認すると着信が
シャワーしてる時間以外も合わせて
4回もあった。


「掛けたほうがよくない?
出ねーと心配するくない?」


ここで?謙太さんのそばで?
何度も掛けろと言われるので
しぶしぶ掛けた。


「もしもし」


「あっ!綾子ちゃん
お父さん大丈夫だった?」


「うん 何とかね」


「何度も掛けたのに出ないから
ちょい心配したわ」


「ごめんなさい」


「明日さ バンドのメンバーとの
飲み会があるんだけど来ない?」


「明日はバイトだから休めない」


「そっか残念」


それから2~3分話して
電話を切った。