抱きしめてくれてはいるが
無言のまま。


何かを話さなきゃ
思いついたのは
「ね・・・謙太さん
気持ちよかった?」・・・。


「そんな質問するな!」


うまく誤魔化されてる?
そっか・・・
だよね・・・
相手があたしだもん・・・
かおりさんとか言うこの前見た
マドンナさんなら違うだろうね。


でもショックだな
嘘でも『よかったよ』って
言ってほしかったな。


「お前は?」


すごく幸せだった
気が遠くなりそうだった
だけど重い女と思われたらいけない。


「よくわかんない」


「なんだ?その返事
まあ俺が相手じゃなかったら違っただろうね
次はちゃんと好きなやつとしろよ」


「・・・うん・・・」


好きな人・・・
あたし・・・あたしの好きな人は?・・・。


また沈黙が続く。


「シャワーしてくるわ」
お風呂へ行った謙太さん。


ベットには謙太さんの温もりが残る
それを触っていると自然に涙が溢れだす。


あたしやっぱり謙太さんのことが
好き。


恋をするってこんなに苦しいことなの?
好きなのに好きとは言えない。


絶対にこれだけは
伏せなきゃ。


何とも思ってない態度で居なきゃ。


「さっぱりした!
あやっぺも浴びてこいよ」


謙太さん上半身裸のまま現れ
ベットの縁に座った。


「ちょっと何か着てくださいよ」


「バーカ 今更だろ」


だけど・・・目のやり場に困る。


「シャワーしてこいって」


洗い流したくないのに。。。


「あっち向いててください」


「恥ずかしがってんの?
あやっぺの全てを見てるから
さっきも言ったけど今更」


「もー!!!いいから!」


と謙太さんの体を反対に向かせる。


「おい!ってかお前」


あ・・・全裸オープン・・・。


「キャ!」


あたしは急いでシーツで隠す。


「キャ!とか
可愛いヤツだなお前って」


可愛いと言ってくれた
それだけでも十分幸せ。