店を出た後、約2時間かけて実家に帰ってきた。

あの事件があった町で何かわかることがあるかもしれないと思ってのことだ。

実家に到着し、運よく持ち歩いていたスペアキーで開錠したところで、ちょうどメールの着信が鳴った。

確認するとわたしが出したメールへの返信だった。

電車に乗りながら小、中学の同級生にメールをして陸に双子や兄弟がいたかどうかを確認したのだ。

昔から陸を知っている友人ならばわかるだろうと考えたのだ。

友人からの返事は予想通り、陸には兄弟はいないとのことだった。

それならば陸の祖父母に聞いてみよう。それでも否定されれば、陸は一人っ子であることが確実となる。

実家に来てから三十分ほど経過したところで母が帰ってきた。

「お帰り。最近帰ってこなかったじゃない」

「ただいま。テストが忙しかったの」

物理的には後に帰ってきたからお帰りと言われ、ただいまと返すのは不思議な気がした。