足早になる。


息が乱れる。


でもそんなことかまわずに一心に
歩調を緩めない。


やがて校門がみえ、クリーム色の校舎が
顔を出した。

「・・・・・・・・っ」


ようやく息を整え、玄関の方へ行くと
彩の上履きがなかった。



ここにいることを示すかのように
外履きの靴だけだ残されていた。


素早く靴をはきかえ、かかとを踏みながら
2階へと上がる。


「ったく・・・・・どこだよ」


多分自分の教室なのだろうと思ってはいたが
一番遠い位置にあるのでイライラする。


足音を忍ばせながら走ると、教室から
知らない男の子が出てきた。



相手は俺の存在に気付くと、じっと
顔を見てくる。



真っ黒な目で見られ、思わず目線を
そらそうとするが、その前に相手がそらして
くれた。