【遼真side】

絵画のように真っ赤だった。

真っ赤な夕日が街を包んで、歩く人は一度
その夕陽を見るだろう。



だけど今の俺には、そんな余裕がなかった。

余裕がないというより、急いでいた。

・・・・・心配、か。


ちょっと前に沢良宜さんに会い、話をしたが
いつも一緒にいる彩がいなかった。



喧嘩、とまでは行かないけどきっと
何かあったんだろう。


ただ、電話をしてもメールをしても返事が
ないことが俺を無性に不安にさせていた。



アイツのことだから、何か
思いつめているかもしれない。


そう思うと、元々学校に忘れていた課題を
取りに行くということも頭からはなれ、
ただ一心に学校に向かっていた。