唄鳥君の目は真っ黒で大きくて、今にも
吸い込まれそうなほど澄んでいた。



「でも俺」

数歩あるいて、廊下の方へと体を向けた。

そしてわずかに首をこっちの方に傾ける。

「女の子を泣かせる人を許せるほど、
心広くないんで。

・・・・・何かあったら言ってくださいね。」



そう言い終わると他には何も告げず、
廊下へと出てしまう。


私はその意図を読み取ろうと思ったが
結局分からずに一人で教室に残る。



「唄鳥君は何か勘違いしてるよ・・・・」


私のことなんか心配しなくても
大丈夫だから。


私が苦しいとか、悲しいとか、辛いとか
口に出せる時は、まだ大丈夫だから。