苦しそうに顔を歪める唄鳥君。


・・・・・ねぇ、唄鳥君。

あなたも誰かのことを好きなんだね?
だからこんなに必死になっているんだね?

「・・・・・気持ちは分かったよ。
でもね?私だって決して生半可な気持ちじゃ
ないよ。」


それを聞いた唄鳥君は、一瞬悲しそうに
歪んで・・・・それでも必死に隠すように
笑った。


「・・・・そっか。ううん、むしろそれ聞いて
安心したよ。生半可な気持ちだと、俺も本気に
ならなきゃいけなくなるからね。」


・・・・まだ本気じゃなかったの!?
・・・・この子、末恐ろしい・・・・。


「俺の聞きたいことはこれだけだったんで。
・・・・もうそろそろ帰りましょうか。
・・・・・・・・予鈴もなったし。」



そう言って全速力で走ったが、唄鳥君も私も
疲れ果てて廊下の方では歩いていた。



「・・・ねぇ」


不意に唄鳥君が聞く。
私は「ん?」と聞き返すと、彼の目は冷たかった。

思わず身震いをする。