「誠司さん。私もその会議に参加することはできますか?」
誠司さんはコーヒーを盛大に噴いた。
「ば、馬鹿か! いくら作家とはいえ、連載会議に参加なんかできるわけないだろ!」
「でもこれは、私のための連載会議でもあるわけですよね? それなら私にだって参加する権利はあると思うんですけど?」
「それとこれとは別だ! お前は連載会議がどういうものかわかってない!」
「そんな、衆議院予算委員会じゃあるまいし、参加するくらいいいじゃないですか!」
「ダメだ!」
ああ、どこまで堅物なんだ。昭和か? こいつの頭は昭和なのか?
「もういいです! 私、編集長に直談判してきますから。」
そう席を立った私を誠司さんはしがみついて止めようとした。
「やめてくれ! な? この通りだ! お願ーい! ほら、帰りにケンタッキー買ってあげるから!」
「駄々をこねてもダメです!」
「俺は……俺は……泣くぞ?」
「勝手に泣いてください! 私は行きます!」
「こら! 人でなし! 俺がどうなってもいいのか! こんな直談判したってだけで俺の立場なんて簡単に揺らぐんだぞ? え? 受付で『いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件ですか?』なんて言ってる姿が見たいのか?」
「ある意味見てみたいですね。」
「頼むから! 後生だから!」
私は駄々をこねる誠司さんを引きずりながら、月刊カミツレの編集部に乗り込んだ。