「ど、どうでしたか?」



私の対面に座るなり、誠司さんは深いため息をついた。



「休憩。まだ何とも言えないな……。」



誠司さんのこの反応は異常だ。何とも言えないだけでこれだけため息をつくわけがない。



「はっきり言ってください! 私だって作家なんです!」



「キリン……。」



「りんです!」



誠司さんの前にコーヒーが来て、それから一口啜って、「熱っ!」と一言、それから一語一語絞り出すように言った。



「正直、フィフティー・フィフティーところだな。」



「五分五分……ですか?」



「ああ。中には『大木先生にしては斬新で面白い! 是非やるべきだ!』という意見もある。でも、『大木先生がサスペンスを書かなければカミツレの読者は減っていきます!』と反論する奴もいる。」



ああ、私ってそんなに重宝されてたんだ、このカミツレに。



「しかし、後者。つまり、反論意見は過半数に満たないんだよ。」



「過半数に満たない!? それって、五分五分なんかじゃないですか。」



「ああ。でも、猛反発してる人が一人いてな。それが厄介というか、計算外というか……。」



「だ、誰なんですか?」



「編集長だ。」