「…助けるって…どうやって…ですか?」

 「具体的には、君らを僕らの仲間に引き入れて、人間を食べるのをやめてもらうんだ」

 「そんなことが…?」

 「嘘だ。そんな話信じない」

 「でも!兄さん…!そんな方法があるなら…わたし知りたい…もう…いやなの」

 その言葉に笑みが零れた。

 「…殺戮は蜜の味。他人の生を奪い啜る血はどんなものにも勝るだろうけどね…それではいけないんだよ…それじゃぁ…本物の獣になってしまうから」

 頭を撫でられていた少女が男を見上げた。

 「…お兄…ワタシ達はここにいる」

 「…いるっすよ」

 二人は俯いた男の手に触れた。

 三人の話を聞いた彼女が僕の手をとった。

 「…もし、助かる方法があるなら」

 「…僕らはべつに何も困ってない。何も不便はしていない」

 言えば、また彼女の頬を生ぬるい滴が伝った。