クラスの中心でみんなをまとめ、先導していく存在。スクールカーストは圧倒的上位に君臨している柚木かをりはみんなから慕われている。多分彼女はそれを誇りに思ったりなんかしてはいないんだろうけど、一般的に自分を慕ってくれる人がいることに悪い心地はしない。

問題はそれが多すぎる場合だ。

クラスの一定数、具体的には過半数以上が一人を慕ってしまうと、それはすぐに多数派を生み出す。それが生じてしまえばもう終わりだ。グループをまとめていたはずのリーダーでさえも、いつの間にか半強制的に従わされるような状況に陥る。多数派の暴力は度が過ぎれば統率者の力すらも凌駕する。

 そんな状況に陥ることなく、誰一人が不満なしに上手にまとまっているのは他ならぬ柚木かをりの人望の厚さのおかげだろう。