夏音は「うん。」と返事はしたものの、あの日の奏との事を塚原には言えずにいた。

そして、奏にも触れていいものなのかが分からず出来ない話があった。
人には触れられたくない過去が少なからず、あったりするものだから。










ーーー 12月。ーーーーー



奏と会ってからもうじき、1年になる。
奏は相変わらずで、あの日のことがなかったかのように過ごしていた。





「お疲れ様。今日は皆お迎え早かったね。」





「そうだね。あの・・・奏、今日はあたしの話を聞いてくれる?」




何の話だろうと不思議そうな顔をしながら、奏は頷いた。