「来てくれてありがとー!!」

ギュッ。

おい、スキンシップ激しすぎだろ。

「はは、陽ちゃん可愛ー!」

「ありがと!僕、お姉さん大好きだよ!!


「はいはい笑」

「流さないでよ笑」

「じゃあね、楽しかったよ笑」

「あ、その前に!これ受け取って!!」

「これ……??」

「うん!!これ!!あ、みんなには秘密だからね?」

「キャッ。」

………………耳打ちは無理。

陽にしか出来ない技だよ。

流石というかなんというか……。

陽はお客さんを見送った後、私達のとこに来た。

「へへー、凄いでしょ!」

「いや、凄いというか……。」

私は、思わず苦笑い。

そりゃ、なる……よね?

「はー。お前は相変わらずだな。」

「なにそれー?」

「要くん、陽くん、指名入ったよ!」

「「はーい。」」

喋る暇のないぐらいスグにお客さん。

これはいつ落ち着くんだろうか……??




お昼がすぎ二時ぐらいになってやっとお客さんの行列が途絶えた。

「はー、やっと落ち着いた!!」

「やっとだねー。」

「…………疲れた。」

流石のそうも疲れたのか。そりゃ、そうだよね。

午前からずっとあの調子だったし。

「でも、なんで急にお客さんが途絶えたの……??」

私達はずっとカーテンの向こうで帰るお客さんの接待をしてたから途絶えた原因を知らない。

「あ〜、材料が追いつかなかったみたいだよ。」

……へ?そんなに人気だったの、ココ。

私が思ってたより多かったってこと……??

「そんなに凄かったの、ここ!!」

私はビックリしすぎて思わず大きい声をしてしまった。

は、恥ずかしい……。

「まあ、これで僕達の仕事は終わ「要お兄ちゃん!」」

陽の言葉を遮るように甘ったるい声が聞こえてきた。

なに、この気持ち悪い声。

私をお兄ちゃんって呼ぶやついないは……ず。

その顔が現れた瞬間絶句した。

……アイツ、なんで来たの??

「要お兄ちゃん、凄い繁盛だったね!!」

「………………かなで。」

そう双子の兄、要が来ていた。

一応言っておくが、私達は今入れ替わっている。

気持ち悪い程甘ったるい声を出しているのは兄の要。

男姿をしているのが私、かなで。

てか、こんな気持ち悪い声したことないんだけど。