そうして私は今の気持ちをただまっすぐに話した。

先輩に告白されたこと、それに本気で答えられない自分がいること。

その人は相変わらず黙って聞いてくれる。
そして、

「なるほど、それは今、ここで答えを言うのも悪くありません。」

しかしその人は少し間を空けて

「しかし明日香さんも気づいているのではありませんか?」

「自分の本当の想いに。」

何も言えなかった。

実際、多分こうだろうというのは自分でもわかっていた。自分自身の本当の好きな人。でも……

それ自体が私の悩みをさらに複雑にしていた。自分で答えが言えないまま私は黙り込んでしまった。

そんな私に友也さんはスッと私を包み込むようにして、

「大丈夫です。貴女の想いに偽りはありません。
悩むより口で言葉として出してみてはいかがですか?」

「…るいよ…」

「え?」

「…ずるいよ…友也さんは…」

私は少し涙をこぼしながら顔を上げ友也さんを見る。

そして、

「私は、私は友也さんのことが好きです。
でも、樹先輩のこともまだ思ってて…忘れられなくて…」

言葉に詰まりつつ、話し続ける

「それでも、私は、私は……」

言い終える前に友也さんは私の頭を撫でてくれた。

私は涙がこらえきれなくなって友也さんの胸で泣き始めてしまった。

「よく言えましたね。それが明日香さんの本当の想いなのですね…
ではきちんと解決を、いや、返事をしましょう。」

友也さんはそっと私の涙を拭い、

そして

「私も明日香さんのことが好きでした。明日香さんが毎日来てくれることがすごく幸せでした。」

私はこらえきれない感情に動かされ、
抱きついて、子供のように泣いた。