グイッ…

差し出した手を、実菜子は掴んで、自分に引き寄せた。

と、必然的に、私は実菜子の顔に近付く形になった。


…その間、10秒。



…多分。
そのくらい。


端正な顔を目の前にして、私は思わず赤面してしまった。


チュッ…

触れるか触れないかくらいの…キス…?



これが、初めての実菜子とのキスだった。


甘いとか、トキメキとか皆無で。


私の初めてのキスは、いとも簡単に実菜子によって奪われた。