聞きたいと思って、口を噤んだ言葉は、本当に野暮なものだった。
実菜子は…
知らない間にこんな所に居た。
それをどうこう言うこともなく。
どうして?
と聞くこともないと思ってた。
「成人式…」
と話を始めると、カランとグラスを傾けて、ああ…と話を始めた。
成人式、久々に会えると思っていたが、実菜子の姿はなかった。
成人式前に実菜子の両親に実菜子の事を聞くと、
「あの子と、暫く会ってないの」
と、それ以外何も話をしてくれはしなかった。
「最後のね…親孝行のつもりで、親の望むように振り袖くらい着てあげようかとは思ったんだけどね。」
小さく息を吐いて、また続けた。