「はいはい。」

お手上げですと言わんばかりに、軽く両手を上げた。


「で?湊クン?」

「ミ・ナ・ト」

どうしても、そう呼ばないと、許してくれそうにない。


ふぅー…っと息を吐いた。
ここまで来れば、覚悟を決める他ないのだろう。

「ミナト?」


やったー!!と、満足したみたいに喜んで、目をキラキラさせて私を見つめた。

まるで犬。


見えない尻尾が、パタパタ…いや、バタバタと激しく揺れてるのが想像できるくらい。

「なに?小春?」


聞きたい事はたくさんあった気はしたけど、どれも野暮な感じがしたので、全く関係のない話を始めた。