今まで、どんなに苦しくても、自分から「貸して」と言うことはなかった。 それを、私が「言わせた」んだ。 有り得ないと思った。 そんなことする必要はないと思った。 それでも、 「分かった。 …それで最後にしよう。」 そう言って、私は家を出た。 「さようなら」 家の外で呟いた声は、風に乗って消えた。 優希は本当にダメ男だった。