「小春、左手出して」

付き合って、4日目のこと。

「ん?」

と、手の平を上に向けて差し出すと、

「色気ねぇなぁ…」

と苦笑した。


「目、瞑って?」

と言って、手の甲を上に向けると、スゥッと、薬指に指輪を通した。

パチリと目を開いて目を開けると、小さくキラリと光るダイヤのリング。


目をパチクリさせて左手の薬指と優希の顔を交互に見ると、

「前、指輪が欲しいって、言ってただろ?」
と笑った。


じんわりと目頭が熱くなる。

目を瞑ったら、涙が零れ落ちそうだった。


本当に幸せだった。


何気なく言った言葉も、ちゃんと覚えていてくれて、私は本当に幸せだと思った。


左手を握り締めて、
「ありがとう」
と、心から思った。