部屋の中には2人の女の子が机をはさんで話していて、
一つ机を挟んで、男の子が一人机に座っていた。
話している女の子の一人は、メガネをかけていて
いかにも真面目そうな感じの子だったが、もう一人の
女の子の方は結構美人だ、セミロングの髪もきれいで目立たない程度に
明るくしていた。

「こんにちわー。」
ミズキが明るくあいさつをする。
「あ、ミヅキ。」
メガネをかけた真面目そうな女の人が声をかけた。
「高崎先輩、今日はちょっと少ないですね。」
高崎先輩と呼ばれたメガネの女の人はチラッと私の方を見た。
「3年生は補習があるからまだ来てないわ。ところで、その子は?
入部希望者?」

「そうなんですよ、私と同じ1年の…、」
「あ、北瀬智子です。よろしくお願いします。」
智子は少し頭を下げた。
「お、いいね。一年生また増えたじゃん。」
美人なセミロングの女の人がうれしそうに言った。
「ミズキの友達?」
高崎先輩は智子の顔をまじまじと見つめた。
「実は私もトモとは今日初めて会ったんです。
塾が一緒の共通の友達がいて、その子の紹介で。」

そうなんだ、じゃあ北瀬さんって環境とか興味あるの?
あ、はい。そんなに知識はないんですが。
ああ、いいよ、いいよ。

「そうなんだ、じゃあ全員知らない人みたいなもん?
あ、徳山クンは?」
高崎先輩は、後ろの男の人を見た。どうやら彼の名前は
徳山と言うらしい。
「いや、知らない。」
男の子はボソッとつぶやくように言った。
「じゃあ、後は1年生だと、時浦さんと鹿山君だけど知ってる?」

!!
その名前が出た時、智子はドキッとした。
「いや、知らないですね。」
智子は動揺してるのが表情に出ていないか内心ビクビクしていた。
「そうなんだ、じゃあホントに知らない人ばっかりなんだね。」
「いいじゃん、アタシも最初知ってる人いなかったし。」
「そうだね、そういえば私もそうか。」
「そうそう、カナがこの教室に入るのをためらってる時に私が声かけたのが最初じゃん。」
「あ、そういえばそうだ、なつかしいね。」
先輩方は、しばしお互いが出会った頃のことをなつかしく話した。