先輩は 誰と話し合わなきゃいけないのか、一体何を話し合うのか、
私が聞いても「言わない」の一点張り
私の告白がその人のせいで
まだ返事もらえてないんだから
教えてくれてもいいじゃん、先輩!
心の中で文句を言いつつ、
そんなこと口に出して言えるはずもないから、素直に先輩に従うだけ
今日の昼休みは、久しぶりに先輩の教室を覗きに行った
いつ行っても、三年生ばっかりの廊下は緊張するな〜
2年違うだけでこんなに大人っぽくなるのか
でも自分が三年生になっても大して今と変わらないんだろうな
そう考えながら、先輩の教室の後ろのドアから覗いた
先輩は窓際の1番後ろの席
つまり、後ろのドアから1番近い
「あれ、いない.....」
珍しい。最近はいつもここで弁当を食べて、私を待ってくれてたのに(たぶん)。
残念。仕方ない。
はあっとため息をついて、立ち去ろうとすると、
両肩をポンっと誰かに叩かれた
後ろを振り返ると、小首を傾げて微笑んでいる美咲さんがいた
美咲さんとはあの日以来、会っていなかった
部活もなんとなく気まずくて見に行ってなかった。
美咲さんは私と橘先輩のこと、聞いたのかな
「どうしたの?隼人に用があるんだよね?」
「あっ、はい。そうなんですけど、いないみたいですねハハハ」
うわあ....この棒読み
自分で言っててがっくしくる。
気まずいです。って言ってるようなもの
「なんか隼人と流星で、自主練しに行くとか言ってたよ?」
「え、そうなんですか!」
「うん、行ってみたら?」
あ、じゃあ、、っと行ってその場から離れようとすると
「あ、愛ちゃん、ちょっと待って」
美咲さんに呼び止められた
「最近、部活来てなかったでしょ?それで、隼人に理由をしつこく聞いたの。全然教えてくれなくて。逆にそれが怪しいって思ったから、私怒ったフリしたの。そしたら、やっと教えてくれて。あの日、愛ちゃん聞いてたんだね……」
「はい……盗み聞きみたいなことしちゃってすみません。」
「ううん、大丈夫。それで、隼人の気持ち、ちゃんと聞けた?もう、付き合ってるの?」
やっぱり美咲さんは素敵な人だ
普通、ライバルにこんなこと聞いたりできない
「いや.....待ってほしいって言われました」
「はあ!?あいつ、何やってんのかしら....。まあ... 私がちょっとからかってやろうって思って言った言葉がこんな事を引き起こしたんだけど...、でも、待ってあげてね。多分、あいつなりにけじめをつけるんだと思うから。」
「分かりました。ありがとうございます」
少し、控えめに、少しだけ、遠慮して
お礼を言うと、グラウンドに急いで向かった
白い校舎を出た瞬間、光が私を照らした
目を細めて見上げた空は青かった