「毎日のように家に来てくれてたんだよな。
……病気だとわかっても……それでも……」




「……」








「元カノは、俺がアルツハイマーだと知ったら、別れようって……離れて行ったよ」





「そんな!」




_______そんな……。











「病気でなくても、人の記憶は薄れていくものだと思ってる。
「好きだった」ということさえ、いつか忘れる。
きっとヒサも、他の人を好きになれば、「こんなこともあったっけ」と思う時がくる」






「そんなことない!
私はっ……私はセンパイを忘れたりしない!」








「________……」



センパイの唇に、ギュッと力が入ったように見えた。



その瞬間、ぐいっと腕を引かれ




「センパイ……」




センパイに力強く抱きしめられた。





「……」




そっとセンパイの背中に手を回した。




「……」






少しやせた気がする……。




それでも、何も変わらない。

センパイの体温を感じるのに……。




こんなに、温かいのに________……。