茅野ちゃん、茂野社長、穂積、と指を折ったあとで、
「誰かひとりでも恋愛に長けてたら、こんな揉めてないかもしれないのにね。
 今のままじゃ、誰にも終着点が見つけられそうにないね」
と言ってくる。

 うう。
 確かに、と思っていると、気分を切り替えるように、玲が、
「よしっ」
と言った。

「茅野ちゃんはもう買ったの?」

 今話している間に、茅野は、もうジャンボを買っていた。

 その手にある宝くじを見ながら、
「いつも思うけど、密やかにやること速いよね」
と言う。

「うーん。
 僕は、なんにしようかな。
 ロトとか?」
と売り場を見ながら玲は悩んでいた。

 思いの外、選択肢がたくさんあったからだろう。

 まあ、今は空いているので、ゆっくり悩める。

「ロトかあ。
 私やったことないです」
と言うと、

「これだと毎週当選の発表があるじゃん。
 早くに茂野と別れられるかもしれないよ」
と言った玲が、ひょい、と窓口を覗き込み、

「ねえ、お姉さん。
 何番が当たるかなあ」
と訊いた。