帰りは本当に玲と帰った。

 一緒に宝くじを買ってみたい、という彼とともに、売り場に寄る。

「玲さんでも、宝くじとか買うんですか?」
と茅野は訊いてみた。

 普通に七億くらい持っていそうなのだが。

 今もだが、女装しているときの玲も身の回りのものは、びっくりするくらいの金額のものばかりだった。

 それが嫌味でないので、恐らく、昔から、そういった品を身につけ慣れているからだろうと思っていた。

「いや、僕はおにいちゃん程はお金持ちじゃないからね。
 ただの従業員だし。

 親からもらった金を食いつぶして豪遊してるだけだよ」

 そこで玲は渋い顔をする。

「しまった。

 贅沢しないで、貯金しきゃよかったなあ。
 そしたら、僕が茅野ちゃんを買い取れたのに」

 買い取るって、と茅野は苦笑いする。

 どうも、秀行と穂積の七億円の押し付け合いを揶揄して言っているようだった。

「あの人たちは、完全に問題を履き違えてるよね。
 基本、不器用なんだろうね」