いらっしゃいませーって声はいつも変わらずやる気がなくて、わたしはほっとしながらコンビニに入った。
ここ、いつもお客さんが少ないんだよね。駅前に一軒きりのコンビニなのに。
田舎だからしょうがないんだけど。
わたしだって、いつもこの駅を利用してるわけじゃない。
快速列車が通り過ぎる駅のひとつで、昔ながらの住宅街の他は、なにもない。
学校からも遠くて、ここなら、放課後でも、知り合いに出会うことなんてほとんどなさそうだから。
店内はぽわりとあたたかくて、コートをはおった体から勝手に力が抜ける。
雑誌コーナーに、自分の通う高校のブレザーの背中を発見して嬉しくなりながら。
わざとそこを迂回し、店内をぐるりと一周した。