1階の進路指導室を出て、一度、2階にある自分の教室に戻る。
わたしと同じように進路関係の呼び出しで出遅れたのだろうか。廊下のつきあたりにある更衣室から、ジャージに着替えた運動部員が走り出て、一目散に校庭に向かって行くのに出くわした。
いいですね。これぞ、青春。
耳を澄ますと、3階にある音楽室から、吹奏楽器のチューニングの音が、こぼれ落ちてくる。
その音は大掃除で棚の上から落ちてくる埃のように、目を傷めるし、のどの奥をごろごろさせる。
遠目に見るぶんには、きらきらしてきれいなのだけれど。
2学期がもうすぐ終わろうとしていた。
冬休みが来て、3学期が来て、進級したら、わたしは受験生になる。
……なりたくなんか、ないのに。