「中間テストは、少し調子を落としていたな」
そうですね。
「前回の進路調査の時は、Y大と書いてあったが」
いろいろと、悩みの尽きない年頃でして。
「高見の成績なら、Y大は充分目指せるし、努力次第ではもう1ランク上も狙えるぞ。まだ時間はあるし、親御さんとも、よく話し合ってみなさい」
かしこまりました。
時間にして約15分。それで、無罪放免。とりあえずは。
ハマダ先生は、少女マンガに出てくるようなイケメン教師でも、ドラマに出てくるような熱血教師でもない。
ないけれど、広いおでこに刻まれた横ジワが憎めないおじちゃん先生で、女子にはそこそこ人気がある。
まあまあていねいに生徒の話を聞いてくれるし、悩み相談にだって乗ってくれるという。
授業はほどほどにわかりやすくって、早口すぎることもなく、黒板の文字が汚すぎて読めないってこともない。
うざすぎる指導もしないし、セクハラもしない。
現実的にはこのへんが「いい先生」ってやつだ。それ以下のが、いくらでもいるからね。――おっと。