『何か言いました?』
なんて言ったか聞き取れなかった
「何でもない。あ、飲み物来たみたいよ」
「お待たせいましました
……ごゆっくりどうぞ」
愛想笑いを浮かべた定員がお決まりの言葉を言って行った
カチャ
少しの苦味がたまらなく美味しい
チラッと先輩を見ると幸せそうに飲んでいた
『可愛い』
「へ?」
心で思ってたことが声に出てたみたいだ
『……幸せそうに飲む先輩が可愛いと思ってみてました』
「だって本当に美味しいのよ?
私、甘い物があればずっと幸せかも」
『じゃあ、俺と一緒にいる時は?』
何言ってんだ、俺
俺は藍那が好きなんじゃないのか?
これじゃ先輩を困らせちゃうだろうが
『すいません。忘れて…「幸せよ。とても楽しいわ」…』
そう言った先輩は儚げな表情をしていて、それでも瞳だけは力強かった
嘘なのか本気なのかはわからないが
それでも俺は、嬉しいと思ってしまった