先輩には笑っていて欲しい。
自分が笑わせてあげたい


こんな気持ちになったのは初めてで少し戸惑う。



『僕は、藍那が好きです。今はどうなのか分からないけど、心にぽっかり穴があいたような感覚があって。それを埋めるために遊んで回ってました。』



『だけど、それはもう止めます。
僕は、先輩に笑って欲しい。 作った笑いじゃなく心から笑って欲しい。』



「如月君、それじゃあ……」




『先輩を利用するなんてことは、僕には出来ない。そんな事をしないで、ちゃんと付き合いたいと思ってます。 こんな僕ですがよろしくお願いします』



テーブルに頭が付きそうなくらい下げる



再び沈黙が広がる


先程とは違い、早く終わって欲しいと思ってしまう





「如月君、頭を上げて?」




僕は、恐る恐る先輩を見る




笑っていた。
辛そうな笑いでも、寂しげな笑いでもない
とても嬉しそうに笑っていた



「そう言って貰えて、とても嬉しい。
さっき言ったことは前言撤回するわ。
私を絶対好きにさせて見せる。
覚悟してね?如月君」



フフッと笑う先輩は会った時の雰囲気に戻っていた




変に自信に見ち溢れている、いつもの先輩



ドキドキとなる心臓に手をやり、もう既に惚れかけていることは言わないでいた