まぁ重ね合わせているの事実なので否定はしない



でも……




『僕は愛が欲しいわけじゃない』


だってその愛は、向けられることは無いと知っているのだから



「いいえ、君は飢えているわ。寂しいのでしょう?悲しいのでしょう?……最愛の人からの愛が欲しいのでしょう?」



先輩は断言するように問うてきた



図星だ。藍那が別の誰かに向けている愛を僕に向けて欲しいと、思っている。


黙っていると、肯定と見なしたようだ



「だから、私を利用したらいいと思うの。付き合っていく内に、好きになるまでは行かなくても彼女を忘れられたらと思うわ。
それに、学校の子にまで手を出されたらたまったものじゃないもの」



”利用”そういった先輩は何でもないって顔をしてるけど、とても寂しげな瞳をしていた。


僕がそうさせているんだと思うと、ひどく胸が痛んだ



『先輩は、辛くないですか?
僕は貴方を傷つけてしまっているのに』



先輩は、笑っていた。自嘲するような笑いに僕は何も言えなくなってしまった



二人の間に沈黙が生まれる



それはとても重苦しく、それでいて心地いいものだった



「如月君、私は辛くなんかないわ。
自分で言い出したことだもの、しっかり責任は取らないといけないわ。
答えを聞かせてくれる?」



先輩は言葉とは裏腹に、やはり辛そうな目をしていた



そんな顔をしないで欲しい。自分がさせているのはわかっているがそう願わずにはいられない