「あたし、もう諦めようかな...」


ボソッと呟いた言葉を

菜実は聞き逃さなかった。


「ほんとに言ってる?」


菜実の目は真剣そのもので

目が逸らせない。

きっとあたしのこと本気で
思ってくれているんだなって思う。


「ほんとだよ...?

だって、叶う余地ないじゃん。
あたしがどんなに頑張っても向こう彼女がいるんだよ?
もう辛い思いするのなんて...っ」


「するなんて...?」


きっと菜実はわかってる。

あたしがこんな事言っても

諦められないことを。