話しかける勇気もなく、冬を迎えようとしていた

バレンタイデーの日に俺はいつものように彼女をちらちらと見ていた

なんかソワソワしていて、白い頬を赤く染めていた

細い手には赤い小さな紙袋を持っていて、まさかと血の気が引く

好きな人がいたのか

それはそうか、

おれは彼女の名前も知らなくて

学校の彼女も知らなくて

好きな人だっているだろう

なのになんでそんなの考えつかなかったのだ