私は悔しくて、泣くものかと歯をくい縛った。



「あら、中々気の強い子ね。あなたが望むように、今すぐ教育委員会に電話するわよ。」



由美さんが手に携帯を持った。



かず君がそれを奪いとる。


「本当にばらされたら困る癖に。一輝は返してもらうから離れなさい。」



「由美君は五年前と何も変わっていない。自分の我が儘を何処までも通したいだけだ。言いなりになる俺を、又利用しようとしてるのだろ。」



「一輝が何を言おうとしてるのか分からない。私はただ三人で暮らしたいだけよ。」



「三人で暮らす。夕顔のお弁当作れるのか。掃除に洗濯、朝昼晩のご飯。ゴミ出し、近所付き合い、夕顔の保育園の行事。君は何一つ出来ないだろ。」



「そんな事お手伝いにやらせるわ。お弁当はコンビニで売ってるから大丈夫よ。私には仕事があるのよ。」


「そう君には仕事がある。なのにわざわざ捨てた俺たちに拘る。君がほしいものは家庭なんかじゃないだろ。君か本当にほしいものは、家庭という形と君の言いなりになる夫だ。」




形だけの家庭、言いなりになる夫なら、かず君じゃなくてもいいじゃない。