繋いだ手がお互い震えているのが分かった。



休憩室のドアをノックすると、中からどうぞと言う声がした。



中に入ると田村先生と由美さんがいた。



「じゃ僕は席を外すね。」



田村先生はかず君の肩に触れてから出て行った。



かず君と私は手を繋いだまま、由美さんが座っている向かい側ソファーに腰を下ろした。



「あら、やだ、手何か繋いでどういうつもり。」



「由美はっきり言うが、俺は君とやり直すつもりはない。華と結婚して夕顔のママになってもらう事にした。君は自分の夢を実現する為に、俺と夕顔の生活を捨てた。私の夢の邪魔をしないで、二度とあなたたちとは関わりたくない。と言って。」



由美さんは暫く何も言わなかった。



「一輝あの時は私も若かったし、自分の事しか考えてなかった。今は後悔してる。夕顔の母親は私なんだから、一緒に暮らしたいって思うのは当たり前の事でしょ。」




普通ならあたり前の事だ。



実の母親がわが子を育てたいと思う気持ちに、嘘偽りがあってはならない。




どう考えても由美さんに、夕顔に対する愛情を感じられなかった。