28才のおじいちゃんなんてあり得ないでしょ。



笑うと傷が痛む。



「ママ大丈夫傷いたいの? 」



「夕顔心配しなくていいよ。ママ大丈夫だからね。」


「どんな事をしても夕顔の声が出なかったのに、どうして急に出たんだろ。田村なら分かるのか。」



田村医師が笑っていた。



私もわからない。



教えてほしい。



「夕顔ちゃんは、声を出せなかった訳じゃないんだ。声を出さなかっただけだと思う。夕顔ちゃんは、華ちゃんに会いたくてそうしたんじゃないかな。俺はすぐ気付いたよ。沢田には悪いと思ったが、今度こそ3人で幸せになれよ。」




かず君が深く頷いた。




小さな夕顔がどんな思いで、必死に声を出さないで抵抗したのかと思うと、どうしようもなくて、夕顔を力の限り抱き締めた。




夕顔ごめんね。




夕顔の思いにきづかなくて、許してほしい。




これからは夕顔をずっと見守って行くから、いつまでも一緒にいようね。