五階までエレベーターに乗って、503の部屋を目指した時、504の部屋からかず君が出て来た。



「一輝待ってよ。女は準備するのに時間かかるの。一輝は相変わらずせっかちね。」



かず君の腕に、自分の腕を絡めた由美さんがいた。



私は後ずさりした。



かず君と目が合う。



「あなたなんか何処か消えてよ。」



「由美止めろ、姫野は関係ない。」



「だって夕顔がケガしたのはこな子のせいなんだから、夜中にこの子探しに飛びだして、階段から落ちたのよ。」


あまりの出来事に言葉も出ない。



「姫野の気にしなくていいから、由美がよけいな事いって本当にすまない。夕顔は元気だから、安心して。俺が全て悪いんだよ。」



「夕顔ちゃんが、早く元気になるように祈ってます。」



ツカツカと足音が近づき、由美さんに思い切り顔を叩かれた。




あまりの力によろけてしまった。