祝日を挟んで今日は学校だ。
私、遊佐楓はいつもより少し寝坊してしまい、慌てて準備している最中。
昔なら寝坊しても特に気にする事なく準備していたが、今はそうはいかない。
美香ちゃんとの待ち合わせがあるからだ。
しかし今まで寝坊は滅多にしなかったのに最近増えた気がする。
(まぁ友達もできたし、いい意味で疲れてるのかな)
私は普段通りの支度を急いで終え、家を出た。
オリエンテーションが終わり、夏が近づいてくる証として、夏服になった。
今年は異常気象のせいか既に暑くなってきているので、例年より早めの夏服解禁となった。
露出が増える夏服は、特に大したイベントでもないのに男子がそわそわしだす。
美香ちゃんと学校に着いた時なんて、そのスタイルの良さからかなり視線を感じた。
本人は気づいてないようだが…
「ねぇねぇ、楓。今日調理実習あるでしょ?私の班クッキー作るから芹沢くんにあげようと思うんだ!」
「あ、そうなんだ!うん、いいと思う!」
私はまたデモルンから聞いた事を信じる事もできず、美香ちゃんに話す事もできず、ドギマギした返答になってしまった。
「楓?どうかした?」
「いや、何もないよ!ボーッとしてた!」
「…そっかぁ。楓の班は何作るの?」
「あ、私の班もクッキーだよ!完成したら交換しようよ!」
「いいの⁇するする〜!楽しみにしてよ♪」
私はどんなに盛り上げようとしてもこの前の事が頭から離れない。
どうにかできないかと思い、ずっと考えていた。
私はどうにかして芹沢くんの中の気持ちを変えたい。
(どうしよう、どうしよう…)
「……ぇで、楓!」
「うわぁ!」
「どうしたの、楓。さっきから呼んでるのに。もう教室だよ?」
「ごめん、何かちょっと疲れてるのかな…保健室行ってくるね…」
「うん、無理しないで。なんかあったら連絡して!すぐ行くから!」
「わかった。ありがとう。」
教室の前で美香ちゃんと別れ、私は保健室に向かった。