それからというものの行きのバス同様、座席は男女で分けられているので近くになることなく地元に帰ってきた。




学校からは各自で帰る。



私はいつも通り美香ちゃんと一緒に帰った。





家に着き、ドアを開けるといつも通り親はいない。


仕事だから、と思いつつも少し寂しくなる。


少し寂しいと感じたのはこれまでほとんど無かった。




帰ってきてその余韻浸るべく、親に色々話したいと思ったのは初めてだ。



明日は祝日だから親がいるはず。
その時に話そうと決めた。





私は部屋に入って荷物を片付けようと、部屋のドアを開けた時、あるものが目に入った。






黒い紙。





そうだ、私はこれで何でも手に入れることが出来る。消すことだって出来る。




私はこれで自分の不幸体質を消し、友達を作った。




今私はとても幸せである。




しかしこの黒い紙を見てたらもっともっと多くの物を手に入れたいと思うようになる。




(ダメダメ。他に欲しいものは無いし…)





そんなことを考えていると急に黒い紙が光り出す。



眩しさのあまり、私は目を閉じた。




『はい!こんにちは!遊佐楓さん♪』




「…ん…ぁ、デモルン…⁇ちょっと急に光り出すのやめてくれる?眩しいんだけど…」




『おや、人間には眩しいんですねぇ。これから気をつけますね!ところで、あなた自分のお願い事、今までの全部覚えてらっしゃいます?』




「え、最初にお試しでイタリアン出したでしょう。それから不幸体質を消して友達を作った。それから芹沢くんの心に約束を作った、かな。それからこの前芹沢くんに恋をさせてもらったね。」





『ん〜〜惜しい!一つ忘れてますよぉ〜?』




「え、他になんかある?」




『えぇ。あなた授業中に芹沢くんの中に好意を抱かせるcreateをしたでしょう?』



「あぁー…そういえばしたね。」



『それの事なんですが、あなた今回似たようなお願いしましたよね?だから芹沢君の中の好意は前よりも強いものになりました〜』




「別に良いんじゃない?それがどうかしたの?」




『あなた、芹沢海斗さんの好意の対象、わかっていますか?』




「うん。美香ちゃんでしよ?」




『はぁ〜あ。これだからあなたは。あなたはわかってないですねぇ〜』




「何よ!じゃあデモルンには解るっていうの⁉︎」




『はい。もちろん♪知りたいですか?』




「知りたい。誰なの?」




『あなたですよ。』



「…は?」



『芹沢海斗さんの好意の対象はあなたです。』




「…え?何でそうなったの?」




『さぁ。あなたが何かしたのでは?では今日はこの辺で〜〜』




「あ!ちょっと、待っt……」




止める間もなくまた光り出し、デモルンは消えてしまった。




今の話は本当だろうか。




それが本当なら私はどうすればいい?




美香ちゃんに嘘をついた事になる。




かと言って事実を伝えられるわけじゃない。




私なデモルンの話を信じてはいけないと思いつつも頭の中が真っ白になった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜