「楓ー!海いこー!」



「うん。そんな急かさなくても行くから大丈夫だよ。笑」



このオリエンテーションは多くの人と交流すること、が主な目的であるため比較的自由時間が多い。


だからこそ海も入っていいのだ。




「ね‼︎芹沢くんも水着着てるのかなぁ。まぁ着てなくてもかっこいいけど!」



「ほんと美香ちゃんは芹沢くんが好きだね〜。」



「うん!一目惚れしちゃうくらいには好きだね!」



私は芹沢くんが海に来ているはず、というのは何となくわかっている。


だって、私が仕組んでるから。


でも、そこからどうやって2人っきりにするか悩んでいた。



「ねぇ美香ちゃん。もし芹沢くんいたら話しかけよーよ!協力するから!」



「ぅ、うん。じゃぁいたら話しかける‼︎」


私は正直、芹沢くんの中にある記憶の詳細はわからない。


もしかしたら他の人とほんとに約束があって、話しかけられるかもわからない。



でもやるしかないと思った。



「ねぇ、楓。あれ、芹沢くんじゃない⁉︎」



「ほんとだ!隣に相川くん居るけど話しかけても大丈夫そうだね。」



私は何とかして近づけようとする。



「私、ちょっと行ってくる!」



美香ちゃんは小走りで向かった。私も後を追うように着いて行く。



「芹沢くん!」



「お、楠木か。どうした⁉︎息切らして。」


「えーっとちょっとね。芹沢くんは何してるの⁇」



「あ〜っと、俺は何か来ないといけいみたいでさ。」


「海斗は誰かと会う約束してるみたいだぞー!」



隣にいた相川が2人の会話に口を挟む。


ヤバい。このままだと美香ちゃんが勘違いしてこの場を離れてしまう。



そこで私は



「ねぇ、それって美香ちゃんのことじゃない⁉︎」



と、急に言ってみた。



「えっ⁉︎楓ちょっt………」


「ほら、、私相川くんと話したいことあるし、2人はここで話してて!」




「え?遊佐さん俺と話したかったのならもっと前から言ってくれればいいのに〜」



そう言う相川を連れて私はその場を離れた。



「楓、いつの間に相川くんと仲良くなったんだろ…」