―こっちでも事件(?)が起こってるなんて私は、まだ知らなかった。
古沢くんの奇妙な叫び声を背中に感じたまま、春真の部屋をノックした。
「春真?春人?」
『・・・・』
応答なし。
・・・ってゆうか、なんか叫んでない?
後ろの人たちか?
そっとドアに耳を近づける。
『・・・春・・・!てめえ!!・・・』
けんかしてるの?
一か八か、ドアノブを回してみる。
・・・開いた。
ゆっくり、中にはいる。
そこには、お互いの胸ぐらを掴み拳を握りしめている二人がいた。
その目は、確実に私を映していて石のように動かなかった。
「・・・何してるの?」
きくまでもないけど。
「何って・・・喧嘩。」
春真が開き直ったかのように言った。
見れば分かりますけど・・・。
「柚萌は?どうした?」
春真は、こっちに近づいてくる。
「えっと・・・。おかげさまで元気になりました。と、もう、夕飯だよ。」
今だに、うるさい向かいの部屋を気にしながら言った。
「そう。よかった」
そう言って頭を撫でた。
いや、じゃなくて。
「なんで、喧嘩してるの?」
「・・・まあ、色々だ。なぁ、春人。」
「え・・・?まあね」
つか、みんな私に隠し事ありすぎじゃない?