そんな女子は少なくなかった。
「颯人くん~。校則緩くして下さいよぅ」
下らないことで甘ったるい声を出して会長に近づく。
そんな人にも、優しく「それは、無理だ」とはっきり言う。
私は、自分の机に座りながら女の子とのやりとりを見ていた。
女の子、超ムカつく。
こいつ女子の前では、声低いのに男子(特に会長)の前では、声が高くなる。
会長は、猫かぶりにさっき私に見せた笑顔で笑いかける。
―やめて。
彼女でもない私には、そんなこと言う権利がない。
―やめて・・・。
私は、無言で彼女たちを見ていた。
―こんなに近くにいるのに。
あなたに私の手は届かない。