リビングにはいると、またさらに驚くことがあった。




「………おかえり。春歌。」




なんと、まさかのお父さんもいたのだ。




しかも、仕事帰りという雰囲気はなく、いつもの普段着だ。



え?どういうこと?



ますます怖くなった。




お誕生日パーティーとか?



いやいや、そんなののためにわざわざ仕事休まないよね。




でも、今の私にはそれであって欲しかった。



だって
ほんとにいやな予感しかしないんだもん!





私が少し震え気味にソファに座ると、お父さんは優しく笑みを浮かべて、



「そんなに緊張しなくていい。リラックスしなさい。」



と、声をかけてくれたのだ。



もう、私の心の中はすっかり混乱状態だ。





今日はとにかくいろいろなことがありすぎる。



大体お父さんって、こんな感じじゃなかったよね?



もっと、仕事を頑張っていて、無口なイメージだったんだけど。



びっくりし過ぎて頭がついていけない。




そんな私がよほど挙動不審だったのか、お母さんがふふふと笑みをこぼした。




あぁなんてことだ!



多分明日は、5月だけど雪が降るよ。



だって、こんなに家庭が穏やかなことなんてないもん。




これはよく出来た夢なのかな。



うん、きっとそうだ。



なんて、勝手に自己完結させていたその時。



ばぁーーーーーんっ!

チリンチリンチリンチリンッ!


「たっだいまーっ!!」



「はあっ!?!?」




な、ななななななんでお姉ちゃんが!?



バタバタバタと廊下を走る音が聞こえて、勢いよくリビングのドアが開いた。



そして、そこには一年ぶりくらいに会う私の実のお姉ちゃんがいたのだ。




お姉ちゃんは私の5歳年上で、今は某人気ファッション誌の専属モデルをやっている。




ふだんは仕事がいっぱいでなかなか帰ってこれないから、年末年始さえも会えなかった。



まぁ、テレビ電話でちょくちょく話してはいたけど。





「おーー!!愛しき妹よ!」


そう言って、お姉ちゃんは私に飛びかかる。



「なんでお姉ちゃんが!?」



「な、なんでって今日は、愛しき妹の誕生日であり、パパママがアメリカに…「あーりーすー??」


お姉ちゃんが勢い余ってすごいスピードで話すのを、いきなりお母さんがすごい低い声で遮る。



――――――――え?アメリカ??