「おはよ……「藍野さーん!!」
うぎゃあぁ………
入り口のすぐ近くにいた凛音に声をかけようとした矢先、何故かクラスの人たちに捕まってしまった。
逃げようと思ってもなかなか逃げられない。
と、そこへ、凛音登場。
「ねぇ、みんな。春歌嫌がってるじゃん。退いてあげて。」
「えっ………あぁ、ゴメンナサイ!」
まさに凛音様の一声。
周りにいた大勢の人たちは、あっという間に散らばった。
「おはよ、凛音。」
「ちょっとー、助けてもらっといてお礼もないのー?」
冗談で言ってることは分かってるけど、一応「ありがとう。」と言っておいた。
すると、凛音は思い出したように
「あ!そういえば!ハッピーバースデー!」
と言った。
その瞬間。
背筋が凍るかと思った。
丁度タイミング良く黒瀬がはいってきたのだ。
「黒瀬君!おはよう!」
「今日もかっこいー!」
途端に騒がしくなる女子たち。
だけど、黒瀬らそんなのもお構い無しで、私の方へとずんずん近づいてくる。
あぁ、やばい。
私は逃げ場もなく、ぼーっとその場に突っ立っていた。
凛音と結花はまるで「空気読んでやった。」とでも言うような顔でにんまりと笑い、そそくさにどっか行ってしまった。
あの、裏切り者!
心の中でそう叫びながら、私は冷や汗を垂らして黒瀬の方を睨んでいた。