男子の制服は、紺のネクタイと紺のズボン。
ブレザーも焦げ茶で、ローファーも女子とほぼ一緒の素材で作られている。
カーディガンの決まりももちろん一緒。
でも、校則は決して緩くはない。
まぁ、ふつうの高校だ。
シューッと音を立てて、電車が駅に到着した。
ぞろぞろとホームで待っていた人たちが電車に乗り込んでいく。
私もそれに紛れて乗り込む。
いつものことだけど今日も満員電車で、ぎゅうぎゅうになりながらドアの入り口付近まで流れてくる。
次の駅は結構大きいから、そこでだいぶ降りてくれるかななんて呑気なことを考えながら、必死で手すりに捕まる。
うん、これもいつものことだから慣れてるけど。
汗臭いサラリーマンの臭いや、派手めなOLのキツイメイクと香水の匂いに思わず息苦しくなる。
あぁ、早く降りたい………
そして、次の駅。
「〜〜駅……〜〜駅……」
次の駅についた。
ぞろぞろと人が流れていき、私はやっとのことで出入り口付近から抜け出すことが出来た。
ふぅっ、と小さく息をついた瞬間。
背後に何故かあの黒いオーラが感じられた。
(え………嘘……)
恐る恐る振り向いてみると、やはりそこには………
「……偶然だな。藍野。」
「黒瀬……………」
―――――――アイツが居ました。