「杏っ・・・・・!!!」


「ひか、る・・・は?」


【死んだ】


何て嘘に決まってる。


きっとまた、私の事騙してるだけだ。


・・・・って、思えてたら。


どれほど楽だったのだろう。


「それが・・・・・・」


友達が目を向けた先には、
沢山の器具に繋がれたヒカル。


「植物状態・・・・」


よくテレビで目にするアレ。


この器具を外してしまえば、
ヒカルは簡単に居なくなってしまう。


傷だらけで、


痛々しすぎて、


まともに目にする事は出来なかった。


「杏・・・・、輝流・・・・ちゃんと見てやれよ・・・・これが現実なんだよ・・・・。」


「そんなの分かってる!!!!」

静かな病院に、私の声が響いた。

そんなの分かってる。


分かってるよ。


分かってるから・・・・


見れないんでしょ?


「杏・・・・」


泣き腫らした目で、皆がヒカルを見てる。


ヒカル・・・


こんなに側に居るのに。


どうして・・・・・


ガラス越しに、ヒカルを見る事しか出来ない。


「何で・・・」


何でヒカルは、こんな事になったの?


【亡くなった】


は嘘じゃない。


だってもう、


私達が見てきたヒカルは居ないじゃないか。