私の手には原稿用紙が握られ、お母さんも私も、普段着になっていた。
「嘘っ! ウィーユーの制服は!?」
「そんなもの、あるわけないでしょ。あの世界に溶け込むための特注品だったんだから」
「えー! そんなぁ…写真撮っとけばよかった」
「無理よ、あの世界にいたことは、全てリセットされる。時間だって、きっと進んでいないはずよ」
お母さんの言葉を聞き、スマートフォンを開いて、時間を確かめる。
曖昧な記憶しかないが、確かに元の時間だった。
それに…
履歴も、なかったことになっている。
あのとき、3人に漫画の世界だったことを証明するために検索したウィーユーのサイト。
もちろんないのだ。