「別れの挨拶は今のうちよ」


アンナの腕を手に取り、振り向かずに言った。


別れの挨拶…。


そんなものは必要ない。


なぜなら、これはお別れではないのだから。


新たな始まり。


私たちは、いつでも会える。


単行本という形を通して…


そして、お母さんはしるしを描き終えた。


その瞬間、ブワッと大きな風が吹き、アンナの部屋をめちゃくちゃにかき回す。


「うあっ……!」


強い威力に圧倒され、思わず目を開ける。


すると………











「あれ…」


目の前にあったのは、いつもの居間。