不安と心配に怯えていると、後ろから声が聞こえた。
「頑張って、南!」
「大丈夫、君なら出来る」
「なんなら、俺がドア開けてやろうか?」
「「お前は黙っとれ!」」
なんで、一番の年上が突っ込まれているんだろう、と思わず笑みが溢れる。
そうだ…私は、帰らなくちゃいけない。
来たときは、あんなにも帰りたかったのに、今は違う。
紙だし、すぐ壊れるし、見た目に格好良さなんて微塵も感じないけど、それでも、皆は皆だから。
漫画のままでいるから。
だからこそ、もう少しだけなら居てもいいかなって、ちょっとわがままになる。
でも、ダメ…ダメだよ。
私は、一冊の本を通して彼らと出会ったんだから、これからも、彼らに会うのは、紙を通してでいい。
さあ、帰ろうか。