「ウィーユーの原作者、知ってる?」
「原作者? ウィーユー?」
あ…やっぱり、そこは知らないのか。
でも、1から説明するの面倒くさいし、言い方を変えてみよう。
「3次元の人間なんですけど、私のほかに知りませんか?」
すると、アンナは表情をぱあっと明るくし、さっきまでこもっていた部屋の中を指差した。
「多分、この中にいる方だと思います。入ってみますか?どうぞ」
招くような仕草で、私に微笑むアンナ。
この中に、原作者が…
ゴクリと意を決して、ドアノブに触れる。
さっきアンナを説得したときとはまた違った緊張が、体内を巡る。