はあ、とひとつため息をつけば、それに気づいたカエデが、どうしたのかと聞いてきた。


考えていたことをそのまま説明すると、カエデもまた何かを思い出したようにカバンから取り出す。


出てきたものは、私のスマートフォンだった。


「なんで、これ…」


「朝拾ったの。見たことないし、使い方もよく分からないから、ひょっとしたら3次元の人の忘れ物なんじゃないかなぁ、と思って」


はい、とそれを差し出すカエデ。


ありがとう、と言おうとしたけれども、それよりも先に浮かんできたことがある。


それは…


「初めてカエデのこと良い人だなって思った」


思いのまま声に出すと、カエデは頰を染めて口を大きく膨らませた。